<ダンスのちから>
2012年の夏に引き続き、この夏ヨコハマの街が再び多彩なダンスあふれる街になります。
「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015」はクラシックバレエから時代の先端で生まれている現代のダンス、民俗舞踊、日本の踊り、ストリートで生まれるダンス、市民が参加して楽しむダンスまで多種多様なプログラムをみなさまに提案するダンスの祭典です。
―野外では、
祭典の開幕として8月はじめの2日間、市中心部商店街とポイントエリア15カ所を拠点にダイナミックにダンスパレードを開催。ヨコハマを訪れる皆様に街とダンスを同時に満喫していただきます。
8月後半、横浜港が一望できる赤レンガパークでは「コンドルズと踊る!横浜大盆ダンス」を開催。
近藤良平とコンドルズのメンバーが、ヨコハマならではのオリジナル盆ダンスを市民の皆様と一緒に盛り上げます。その隣、象の鼻パークでは「横浜ベイサイドステージ」と題し野外で生まれ発展したさまざまなダンスをラインアップ、引き続き東京バレエ団による「横浜ベイサイドバレエ」を上演、多彩なダンスやバレエを港ヨコハマの風景と一緒にお楽しみいただきます。
みなとみらいエリア一帯で展開するファミリー向けの企画も合わせ、ヨコハマならではのサプライズダンスイベントも多数準備しています。
―市内劇場、ホールでは、
バレエやオペラでおなじみの神奈川県民ホールでは8月半ばに「横浜バレエフェスティバル」と題し、国際バレエコンクールの若き受賞者や国内外で活躍中のトップバレエダンサーたちが結集、クラシックから現代の著名な作品の数々を万華鏡のように披露します。
10月初頭にはパワフルかつ繊細なダンスで定評があるオハッド・ナハリン率いるバットシェバ ダンスカンパニーが代表作の「DECA DANCE -デカダンス」で来日。
また、KAAT神奈川芸術劇場との共同プログラムとしてお届けする「GERMINAL – ジェルミナル」は、世界のパフォーミングアーツ界に台頭してきた異色アーティストユニット「ゴエルジュードゥフォール」による常識を覆す奇想天外な人類進化の世界がユーモアいっぱいに描かれる作品。
一方、日本を代表する振付家 勅使川原三郎はKARASメンバーとともにKAATスタジオ新作公演で新境地を切り開きます。
“KAATダンスシリーズ2015”はカナダのマリー・シュイナールカンパニー、ブラジルのデボラコルカーダンスカンパニーの公演など7作品をラインナップ、世界的に活躍する振付家の新作に出会える国際性豊かなプログラムになっています。
他にも関内ホール、パシフィコ横浜国立大ホール、区民文化センター、市民プラザなどがエキサイティングなダンスイベントを展開します。
―市内オルタナティブスペースでは、
横浜ダンスコレクションで知られる横浜赤レンガ倉庫1号館では「SEPTEMBER SESSIONS」と銘打ち、これまでの受賞者で現在活躍中の4人の振付家が新たな境地に挑みます。
7月の末には旧マイカル本牧で今は使われていない映画館の椅子のなくなったスペースやロビーを使って「パフォーマ70 HONMOKU」を展開。
1970年代、多ジャンルの表現者たちが交流しながらアートを根源から問い直そうとした時代を見つめ直し、アーティストたちの熱い思いや思想を次世代に繋ごうという企画です。ダンスを軸にインスタレーション、ライブトークなどを展開します。一方、10月半ばの旧マイカル本牧では番外特別企画として映画、舞台で活躍中の気鋭アーティスト、森山未來企画による新作を上演、期待の若手振付家 エラ・ホチルドが演出/振付/美術を担当、森山+ホチルド2人によるデュオ作品を上演します。
1990年代初頭にオープンし今は使われなくなった映画館をアートで再生したいという思いが込められた企画です。
他にも大さん橋ホール、市内のホテルやデパートのホール、映画館などがダンス関連のプログラムで参加します。
―ダンサー育成企画として、
バレエ界最高の賞といわれる「ブノワ賞」を昨年受賞し、大きな話題になったスウェーデン国立バレエで活躍中の木田真理子とパートナー児玉北斗が、横浜赤レンガ倉庫1号館で、プロを目指す子どもたちや若手ダンサーを対象に育成ワークショップを、一方、ネザーランドダンスシアターでキャリアを積み重ね、現在はヨコハマを拠点にダンス振付やオペラ演出と活動範囲を拡げている中村恩恵が、小尻健太らとともに彼らの古巣ネザーランドダンスシアターで踊った世界的振付家 イリ・キリアンのレパートリー作品の抜粋で、デュオのワークショップを行います。
上記以外にも多様なダンスの育成、体験プログラムに取り組みます。
ダンスは美術や音楽と共に、言語を介在しないグローバルな身体表現として世界を巡ってきました。わたしたちはどんな時に踊るのでしょうか。言葉にならない歓びや哀しみ、怒りや欲望や愛、祈りといった感情や思いを自分なりに表現したいという欲望が、わたしたちをダンスに突き動かしているのではないでしょうか。
わたしたちは科学が解決してくれないたくさんの謎の中に生きています。身体で表現するダンスは、理屈では解けない生命、世界、宇宙の矛盾や不思議について思いを馳せるきっかけにもなり、人々とそんな思いを交感できるアートでもあるのです。
今年の夏はヨコハマでダンスを見て、踊って、そして、そこで出会う、普段は出会えない人々と、<ダンスのちから>について語り合ってみませんか。
Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015 総合ディレクター
佐藤まいみ